2012/04/30

Pediatric Cardiovascular Disease


”We keep you busy during this rotation” course director。実習初日の宣告通り、ボストン小児病院循環器内科では、病棟業務→コンサルテーション→外来実習→手術見学と、循環器関連のserviceを一通り体験し、密度の濃い経験を積む事が出来ました。

今回は具体的な実習スケジュールを交えて、一か月間私がどのような生活を送っていたのか紹介したいと思います。一緒にローテートしていたハーバード医学部3年生を真似して実習していたので、ハーバード医学生の標準的な臨床実習スタイルは、私のものに近いはずです。それでは↓↓

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【スケジュール概略]
第一週、第二週:病棟
第三週:コンサルテーション
第四週:外来実習、手術見学、心カテ見学

【典型的な1 日のスケジュール、実習内容】
第一週 (team1)・第二週 (team2):病棟
6:15~7:15     予備診察、カルテチェック、プレゼン準備
7:15~8:00     循環器内科レクチャー
8:00~11:30    総回診Visit rounds。受け持ち患者のプレゼンテーションを行う
12:00~13:00  学生・レジデント向けの一般レクチャー
13:30~17:00  患者の診察、カルテ・入院サマリーの作成、心カテ・手術見学
(17:00)~         翌朝のプレゼン準備

Team1, Team2とは
小児循環器内科病棟には診療チームが2つ存在し、それぞれTeam1,Team2と名前がついています。Team1は心臓移植チームで、心臓移植候補患者+先天性心疾患患者の診療を行います。Team2は先天性心疾患を抱えた患者を専門とするチームです。各Teamはアテンディング1 人、フェロー1 人、レジデント and/or NP (nurse practioner、上級看護師)2人、学生1-2人で構成されています。

Teamが一同に会するのは、毎日8時から始まるVisit roundsです。Visit roundsはいわゆる総回診です。各患者の状態をレジデント・学生がプレゼンし、患者の家族を含めたチーム全体で議論を行った後、その日の治療方針が決まります。日本の教授回診やチーム回診と比べると、一人の患者にかける時間が長く、アセスメントが複雑なケースでは一人の患者の回診に30分かけることも稀ではありません。

※学生の仕事
学生の主な仕事は患者の診察、入院サマリー・カルテ作成、プレゼンです。学生は常時1−2 人の患者を受け持ちます。朝6時過ぎに病院に到着→夜勤の医師による申し送り(6:30) を聞く→受け持ち患者の予備診察→総回診で、患者のプレゼン、治療方針の提示を行います。夜中から朝にかけてのバイタルの細かい変化や、患者の朝の様子をプレゼンする事が求められます。





第三週:コンサルテーション
7:15~8:00       循環器内科レクチャー
8:00~12:00       フェローに患者を紹介される(1人目)。診察・カルテ作成
12:00~13:00      学生・レジデント向けの一般レクチャー
13:00~18:00      フェローに患者を紹介される(2人目)。診察・カルテ作成。
18:00~(20:00)    回診 attending round。フェローとアテンディングにプレゼン

※コンサルテーションチームとは
循環器内科コンサルチームはアテンディング1 人、フェロー1 人、学生1人で構成されており、病院中から来る心臓のアセスメント依頼を一手に引き受けています。1 日平均7−8 件の新規コンサルがあり、フェローが5~6人、学生が1~2人受け持ちます。

※学生の仕事
学生の主な仕事は診察・コンサルテーションノート作成です。電子カルテで基本的な情報を把握→問診、身体診察→Assessment & Plan をたてる→コンサルテーションノートを書く→ attending round(18:00) にて患者のプレゼン→チームで議論を重ね、コンサルチームとしての治療方針が最終決定されます。
8例もの症例をわずか1週間で経験出来ました。内科の醍醐味を凝縮させたような1週間で、一ヶ月で最も楽しかったです。

第四週:外来見学、手術見学など
 長くなってきたので割愛。オペを見たり、外来を1人で担当させてもらったりしました。

※オペ見学後、ひょんな事からボストン小児病院麻酔科attendingの結城先生にお会いしました。海外でばりばり活躍されている日本人の先生とお会いする機会がある事も、留学の醍醐味の一つですね!

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 とりとめもなくスケジュールを書いてきましたが、本ローテーションは兎に角アメリカの病院で色んな体験がしたい!という後輩にお勧めです。病棟もコンサルも外来も体験させてもらえます。


 明日よりMassachusetts General Hospital (MGH) の腎臓内科で実習をする事になりました。気を引き締めつつ。

白石

2012/04/21

How to Scrub in

外科系を回ったのが僕一人だったということで、
MGH式オペ参加の方法を載せたいと思います。



まずは自分の目的とする
オペ室にたどり着いてください。




たどり着いたら
準備に参加しつつ
スキを見つけてまずAttendingに
「scrub inしてもいい?」
って聞いてみます。
この一ヶ月15回くらいscrub inしましたが、
一回も断られたことはありませんでした。



ちなみに向こうから誘ってくることはまずないので、
こっちから言わなかったら何も始まりません。
誘ってはこないのに
「scrub inすることになったよ」ってResidentに言うと


Cool!!」「Great!!
Awesome!!!
と反応が返ってきます。



そして今度は
オペ看に話します。
circulator(外回り)の人に
まず自己紹介をしましょう
名前は毎回聞かれ、
毎回メモられます。
後日、手術記録を見ると、
自分の名前が記されています。
「Scrub inします」と伝えると
笑顔で「了解!」って言ってくれます。



手袋を戸棚からとってきます。
MGHにいる間は
Double gloveが推奨されていました。
二枚取り出して
それをcirculatorに渡すか、
開けてscrub nurseに渡すかしましょう。
ここでもscrub nurseに自己紹介しましょう

「Scrub inします」と伝えると
マスクの下で笑顔をつくって
「了解!」って言ってくれます。



いろんなものが飛び散ってくるのでアイシールドをつけましょう。
MGHの人は全員つけていました。
"scrub"する前にアイシールドを装着したことを確認しましょう。
でないと"scrub"してから後悔します。





"scrub"と名前がついている通り
こちらの手洗いは泡立つ消毒液の染み込んだスポンジで
scrubします。ゴシゴシします。

普通の石鹸で手を洗ってから、
スポンジの袋の中に入ってたり、
そこらへんに置いてあるnail pickerで爪の中をきれいにします。


(手動で水を出す洗い場では水を出しっぱにしてから)
まず左手から始めましょう。
右手でスポンジを持ちます。
スポンジを水で濡らし、泡立ててから
指の各面を10回ゴシゴシします。
手の甲、手のひらをクルクルと10回ゴシゴシします。
手首、腕、肘をまた各面10回ゴシゴシします。

ここで一回でも汚い右手がゴシゴシしたところを触ったら
その場所をもう一度10回ゴシゴシします。


終わったら左手にスポンジを持ちます。
そして同じことをしましょう。
この時もゴシゴシし終えた左手にゴシゴシしてない右手が触れたら
スポンジをまた右手に持ちかえて触れたところを10回ゴシゴシしましょう。
ゴシゴシし終えたら
水で流します。

水を手動で出すところは
スポンジをもったまま水で泡を流してから
スポンジを使って水を止めます。
スポンジをポイすると悲劇です。
幸い脳神経外科のオペ室は
去年出来たばかりのビルにあるので水は自動でした。


"scrub"し終えたら
MGHは扉を開けるフットスイッチはないので、
お尻で扉を開けましょう


scrub nurseがスキを見つけて
タオルを渡してくれたり
ガウンを渡してくれます。

一人でガウンを取り出したり、手袋を取り出して装着する
講習を初日のオリエンテーションで練習しましたが
全部scrub nurseがやってくれます。

ガウンを着たら手袋も広げてくれて
僕はそこに指を通すだけです。



オペ看のエイドリアンが協力してくれました。

これで完成です。術野にGoしましょう。

HMSの学生



こんにちは。中釜です。

昨日1ヶ月のローテーションが終わりました。
僕は1ヶ月間HMSの学生四人とシンガポールからの留学生1人と一緒に神経内科を回ってました。

初めの2週間はジョーという非常に真面目な好青年と一緒にstrokeチームを回 り、
後半の2週間はマイクという気さくな、これまた好青年と一緒にgeneralチームを回りました。

今回はこの1ヶ月で経験した、HMSの学生の凄かったところについて少し書きたいとおもいます。

凄いところは本当にいくつもあったんですが、特に印象的だったものを挙げると、
①.医学知識が莫大
②.臨床実習で行う仕事の量が格段に多い
③.プレゼン能力、コミュニケーション能力が凄い
④.みんな真面目
といったところでしょうか。

①と②については、勉強量が全然違うっていうのと、医療体制が違うので、仕方ないかな、と思います。
アメリカの学生の臨床実習は日本の研修医に当たるみたいです。

そのためなのか、向こうの学生は病院実習に出る前からassessment,planについても、
かなりしっかり勉強しているようで、入院患者のプランや処方する薬剤の量なども全て考えて
上の先生に報告してました。科によってはそのままその案が採用されるところも多いのだそうです。

凄いですね。
治療等については研修医になってから、というのではなく、学生のうちからそういうことを考える練習は必要だなと感じました。

プレゼン能力、コミュニケーション能力については完全にケタ違いでした。
その日に入院した患者を2時間後には、プリントも見ずに完璧にプレゼンしたり、

病棟でもレジデントやアテンディングだけでなく、ナースやケースマネージャー、患者の家族、患者が前にいた病院の先生、理学療法士、言語療法士の人など、誰とでも話しまくっていて患者の情報を収集しまくっていました。

こういった能力はアメリカでは医者に絶対的に必要な能力のひとつと考えられているみたいです。
患者のことをよく理解して正確に人に伝えるためには、たしかに必要ですよね。

HMSの学生の真面目さについても結構びっくりしました。
ジョー君は初日の朝の回診の日から何故か患者のプレゼンをしていました。もともと知っている患者だったのかと聞いてみると、
朝来たときにカルテを見たらinterestingな患者だったから担当したんだ、と笑顔で言っていました。
ジョー君は彼らの中でも少し特殊なくらい真面目なのだそうですが、他の学生3人も常に自分から、
是非この患者を担当させてくれと上の先生に申し出ていたり、疑問があれば論文などを読んできて
論文をまとめたプリントを配ったりなどしていました。

自分から何かを学びに行く姿勢をいつも持っている学生を見るのはとても刺激になりました。


HMSの学生が何もかも凄すぎると圧倒されてもしょうがないですが、やっぱり見習うことはとても多かったです。
自分としてもそのあたりを吸収して来月のローテーションや日本でのCCに活かせていけたらと思います。

以上、僕が1ヵ月で見たHMSの学生の印象について少し書かせていただきました。

2012/04/12

ボストンの夜空

珍しく実習が早く終わったので更新しておきます。ボストンの空は東京よりもはるかに暗い信じてせっかく双眼鏡を持参したので、春の夜空のことを書こうと思います。
誰もが知っている北斗七星から探してみましょう。柄杓型のアレですが、空がある程度暗ければ北天にすぐに見つけられます。おおぐま座の尻尾の部分です。柄杓の柄の部分をぐーっと曲線に沿って辿ると、オレンジ色の明るい星が見えませんか?それはうしかい座のアルクトゥルスです。その曲線をさらにぐぐーっと辿っていくと、もう一つ明るい青白い星が見つかると思います。それがおとめ座のスピカです。有名ですね。今の時期は、隣に土星も見えていて明るいのが2つ並んだようになっているので見つけやすいはずです。おとめ座銀河団というのもあるので、暇な人は挑戦してみるといいかもしれません。
アルクトゥルスとスピカと、もう一つ正三角形をつくるような位置に明るい星がありませんか?実際は2等星なので他の二つに比べるとやや見劣りがしますが、これがデネボラという春の大三角形を形作る最後の一つです。デネボラの周辺には明るい星がまたいくつか見えるでしょう。それがしし座で、1等星レグルス(別名ロイヤルスター)をはじめとした獅子の大鎌が目印です。今はレグルスの隣に真っ赤な火星が見られます。
獅子の大鎌とふたご座のポルックス、カストルの間にぼんやりとした光が見つけられます。それはかに座のプレセペ星団です。肉眼でも見えてやや不気味にも映ることから、古代ギリシャでは人間の霊が天井へ行き来する出入口だと考えられていました。
ボストンで一番感動したのは、北斗七星の近くにりゅう座が確認できたことです。日本だと余程空が綺麗なところに行かないと見られません。人間が密集し光害が著しい日本と、ボストンのような大都市でも土地の広さにものを言わせて人口密度の低いアメリカの違いを感じさせられました。
日本には日本の良さがありますが、規模という話になると敵わないな、とか思いながら呑気に夜空を眺めています。
ではまた。毎度毎度毛色が違っててすみません。
坂口玲

2012/04/09

Children's Hospital Boston、Neurologyの一日


こんにちは、高橋です。ボストンに於ける実習が始まってから早2週間が経過しました。
現在Children’s Hospital BostonNeurology(神経内科)にて実習を行っております。Neurologyにおける実習は、病棟とコンサルト其々2週間ずつのセットから構成されます。病棟とは、「病室があるところ」から転じて、「入院患者に関する業務」を意味します。(「コンサルトって何?!」という質問に対する答えはまたいつかの機会で!)に私はこの2週間は病棟実習を行いました。実際にどのようなことをしているかイメージしていただくため、病棟実習の1日の大まかな流れを紹介したいと思います。

まずはチーム構成の紹介から。チームは上から順にAttending doctorFellowSenior residentJunior resident- studentという構成となっております。Attending doctor とはチームのボス、fellow は中堅、Residentは日本で言う初期研修医に相当します。学生は主にResidentと行動を共にします。

 さてそれでは本題に入ります。一日のスケジュールは以下の通りです。
07:30 病棟到着、Pre-Round
 Roundとは、担当している入院患者さんを診察して回ることです。日本語では「回診」と訳されます。Pre-Roundは、Residentが受け持ち患者の病室を訪れ、「How was the night?」から始まり一晩の症状・身体所見の変化を確認します。このPre-Round、驚いたことに患者さんが寝ていても起こします。

08:00~10:00 Attending Round (Morning)
 Attending doctor がリーダーとなり、チーム全員で担当患者の回診を行います。Pre-Round で得た情報をResident がチームに伝達する(”Presentation”と呼ばれる。以下、プレゼンと記載)ことから始まります。She is a $$$ year-old girl, with a history of autism, presenting with concerning episodes of seizure. Overnight EEG showed abnormal bilateral temporal discharge. Today we do MRI….. (一部改変) というようなプレゼンの後、Attending doctorが中心となりチームで今後の方針を話しあいます。Discussion 中、Attending doctor は時折最新の知見の紹介や患者へのアプローチへの方法を教えて下さり、学習効果も非常に高いです。
 さて、病室に入ります。一人の患者さんに掛ける時間は、症例により多少の差こそあるものの実に15分以上!親と患者からHistory や一晩の症状の変化などを聞き出した後、診察を行い、今後の治療方針を患者・家族と話し合います。

12:0013:00 レクチャー
 小児神経内科の分野で活躍する先生方が診療におけるコツや最前線の研究内容に至るまで様々な内容のレクチャーが毎日昼に行われます。しかもなんと昼食付きという素晴らしさ!! Resident はほぼ全員出席しており、組織全体の能力底上げに大きく貢献しております。

13:00~15:30 病棟業務・新規入院患者の問診や診察など
 午後は検査や結果の解釈、新しく入院してきた患者の問診・診察をします。「この患者みたい!」というと、学生に担当させてもらえることもあります。さて、痙攣して入院となった患者を担当したとしましょう。
 まず患者さんの問診から始まります。症状についてのより深い情報(いつから、どんなふうに体震えていたかなどなど…)既往歴(昔何か病気したことあるか)、家族歴(家族の中に癲癇患っていた人いたか、遺伝病はあるか)、生活歴などの情報を聞き出します。
 その後、診察を行います。特に目の動きや深部腱反射(ハンマーで膝叩くと足がポーンと伸びる、あのやつ。ポーンが大きすぎたり小さすぎたりすると、神経に異常がある可能性がある)、力の強さなど、神経を反映するものに異常がないかに注意を払います。
 問診・診察が一通り終わったらResident にプレゼンをします。するとResidentが「この段階でどんな病気が考えられるかな?この情報も聞いた方が良かったね!」といったfeedbackを下さいます。
 プレゼンが終わると、「じゃあいっしょに見に行こうか!」とResidentが言い、再び病室へ一緒に戻りResident が患者さんの問診・診察を行います。先ほど聞けなかった重要な情報が、次から次へと引き出されてきます。
 病室から戻るとカルテに得た情報を記載し、Residentに添削してもらいAfternoon Roundに備えプレゼンの準備をします。
この一連の流れは、実習の醍醐味の一つであります。この症状のときにはどんな病気を考えて何を聞くべきだったのか、どう聞けば患者から上手くその情報を引き出せたのか自分の足りない部分を認識し次に繋げるための最高の機会です。

15:30~17:30 Attending Round (Afternoon)
 なんと午後にもRound があります。検査結果などその日に起きた変化を踏まえ、朝同様Residentがプレゼンし チームで話しあい患者さんの部屋に行き説明をします。④で担当した患者さんをチームの前で発表します。Attending も先ほどのResident同様、「この情報は聞いた?」「どんなこと考えているの?」という質問を投げかけてきます。緊張のひと時ですが、プレゼン後は非常に達成感があります。

18:00  帰宅
 実習も終わり、家に向かいます。一日を振り返った後、担当患者の病気に関する論文を読んだり、英語の勉強をしたり、音楽聞きながらリラックスしたりしながら、次の日に備えて早めに寝ます。

だいぶ長くなってしまいましたが、これがChildren’s Hospital BostonNeurology病棟実習の1日の流れです。少しでもイメージが掴める助けとなれば光栄です。

高橋

2012/04/03

数字で見るボストン小児病院 (Children’s Hospital Boston)


2回目の登場白石です。私はボストン小児病院(Children’s Hospital Boston)で、小児循環器内科(Pediatric Cardiovascular Disease)の実習を行っています。同病院では向川原、中村、高橋含め4人が実習を行っています。

ボストン小児病院は一言で言えばactiveな病院です。と言われてもピンとこない方が多いと思います。そこで今回は皆さんに、データを交えてボストン小児病院の簡単な紹介をしたいと思います。



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数字で見るボストン小児病院
[140年を超える歴史]
ボストン小児病院はハーバード大学医学部本部より歩いて2分の距離にある、ハーバード大学関連の小児病院です。1869年から存在する歴史ある病院であり、増築・改築を何度も繰り返しています。今もなお新棟を建設中であり、病院の規模はactiveに拡大の一途をたどっています。

[全米No.1の診療実績]
U.S. News Best Children's Hospitals 2011-12で評価総合No.1を獲得しています。以下のデータを見てください。
入院者数:18,242 手術件数:7,163 外来患者数:604,967             
ER受診者数:61,631 病床数:396 (2011~2012年度)

目を引くのは入院者数と手術件数です。 (J大学の小児外科ですら、2010年の手術件数は1125件ですから、驚きです。)
循環器内科病棟には、多い日で7人新患がやってきます。病棟の医者は次から次に患者のアセスメントをし、治療終了と同時に患者を退院させなければなりません。病棟で実習をしていて私が驚いたのは、この患者の入れ替わりの早さです。

例えば先日、左心低形成症候群オペ後フォローアップ中の患者さんが低酸素血症を訴えて朝に入院してきました。患者さんはその日の午後にカテーテル検査を行い、ASDステント術を施行、なんと次の日には退院していきました。日本でこんな患者さんがやってきたら、カテーテルの他に様々な検査をしたり、治療後少し様子をみたりしますよね。

本当に次から次に、難しい症例がやってきては退院していきます。実は今日も
a ? month old with Scimitar syndrome, dextrocardia, right lung hypoplasia, absent mediastinal RPA, 10mm mid-muscular VSD, superior sinous venosus defect, APCs to R lung, cor triatriatum and pulmonary vein stenosis 
(ネット上なので一部改変)
という呪文のような一文から始まる、複雑な心臓と肺を持った患者さんがやってきました。私は丸1日かけて、その入院サマリ作りとプレゼンの準備をしましたが、努力むなしく患者さんは明日退院していくことになりました。


活気のある病院である事を少しでもイメージしてもらえたら嬉しいです。
後日詳しく書こうと思いますが、小児循環器内科における実習は内容がとても充実しており、後輩にお勧めしたいローテーションの一つです。

白石一茂

2012/04/02

Operating room in MGH

中野です。
Massachusetts General Hospital(MGH)Neurosurgeryで実習をしています。


初日の午前中は手続きやらScrub in(手洗い)の講習をして時間が流れていきましたが
午後にさっそく手術に入ることになりました。




Chief Residentに
「オペ室の番号は?」と聞くと
「んー、89番だよ」とさらっと言われました。






そうです。


MGHにはオペ室が約100室あるのです






なんだそりゃと思いつつ、オペ室のエントランスに向かおうとしますが
病院が広くて入り組んでて、午前中にScrub講習をやったはずなのに
そこまで行くのにまず20分迷いました。




オペ室のロッカーで着替えて
そこでやっと装備を万端にして
廊下に行きました。
すると迷路のように入り組んでいる上に
どこへ行けどもOR89は見つかりません。
あげくの果てにはオペ室の廊下を歩いていたと思ったら
ドアをガチャっと開けると普通の人が歩いている廊下に出たり、
同じところをぐるぐる回ったりしていました。
方向感覚はあるはずだったのですが。




これはもう


RPGのダンジョンです。








そこでそこらへんを歩いている人に聞きました。
「あぁそれならLunderビルだよ」と言われました。






そうです。


OR89は別のビルにあったのです。






たくさんのビルが中でつながっているのはわかってましたが、
まさかオペ室も廊下を渡って別のビルに行くことがあるとは・・・。




オペ看の方について行って連れてってもらいましたが、
その行き方も複雑で難解でした。




やっとOR89にたどり着き、脳外のオペを見ることができました。






オペが終わって、いやーよかったよかったと思って
Chief Residentに「また明日!!」
っとさわやかに挨拶して
初日の実習が終わった達成感を味わっていました。




よし、オペ室のロッカーまで戻ろう!!
と思って帰ろうと歩き続けていたら
何かがおかしい・・・。






おかしーなーおかしーなー
と思っていたら







そうです。


帰り方もわからなくなったのです。








そこからまた30分迷って
ようやくロッカーにたどり着きました。




オペよりも他のことで疲れた初日でありました。

(ちなみに2日目も行きは迷いました・・・)

Living in Boston

こんにちは。中村です。

実習1週目が終了しました。日本での実習と違うところも多く、かなり戸惑った1週間でした。
実習についてはもう少し進んでからまた書きたいと思うので、今回は留学中の住まいについて少し書きます。今後、実習に行かれる方の参考になればと思います。

ボストンに滞在する約2ヶ月間、我々8人はそれぞれ住まいを探してそこに住むことになります。選択肢としては、①HMSの寮(2名)、②ホームステイ(3名)、③賃貸アパート(3名)、のどれかになることがほとんどだと思います。自分は今回、他の2名のメンバーと一緒に賃貸アパートの一室を借りてシェアハウスをしているので、そのことについて書きたいと思います。

~探し方~
 ホームページで調べました。いくつか候補がありましたが、最終的には”アパマンUSA”という会社に仲介をお願いして部屋が決まりました。日本人向けの仲介業者にお願いすると、けっこう仲介料が取られますが、とんでもないようなところを紹介される心配は少ないのではないかと思います。英語力に自信があれば大家に直接交渉するのもアリなのかもしれません。

~家賃~
 3200ドル/月+手数料(半月分)。これを3人で割りました。光熱費もコミコミです。ホームステイよりは高く、HMSの寮とはだいたい同じくらいではないかと思います。

~間取り・家具~
 ベッドルームは2つですが、リビングダイニングがかなり広いのでそこにエクストラベッドを置いて3人で住んでいます。家具は家電から食器まで最低限必要なものはすべてあるので、特に買い足す必要はありませんでした。

~立地~
 ケンブリッジにあるハーバード大学から徒歩10分くらいのところです。ハーバード大学の周りはお店も多く便利で、治安的にも特に大きな問題はなさそうです。

~長所~
 楽しいです。実習では皆違うところをローテーションしており実習中に会うことは少ないので、シェアハウスでの生活は毎日の息抜きになります。また、家具を揃えたり食器を買ったりする必要がありませんでした。これについては物件によって多少違うかもしれませんが。

~短所~
 選ぶ場所にもよりますが、我々が選んだ家は実習が行われる各々の病院に行くのにバスや電車を使って30~40分かかります。朝が早い日は、病院から徒歩1分のHMSの寮が羨ましくなることもあります。また、現地に行ってみるまでどんな家かわからないというところは少しリスクがあるかもしれません。今回我々が住んでいるところは広さもきれいさも十分だったので、その点についてはよかったと思っています。

~まとめ~
 英語漬けの生活をしたい人やできるだけ家賃を抑えたいという人にはおススメできませんが、特にそのあたりを気にしなければ、楽しいですし安心して生活ができます。こちらでの実習は毎日が新しいことの連続でそのたびに戸惑うことも多いので、いつでも話せる相手が居るということはかなり自分にとっては心強く、シェアハウスにしてよかったと思っています。

2012/04/01

The first week in Boston

こんにちは、野口です。

実習開始からはや一週間が経過しました。
1週間を僕からの目線で超特急で振り返ってみます。

木曜日(3/22):夕方にボストンに到着。空港でメンバーそれぞれ別れ、向川原と僕はVanderbilt Hallというハーバードの学生寮に向かいます。寮はLongwoodという場所にあるのですが、ここには3つの大きな病院がほぼ隣り合うようにして建てられており、まさに「病院のための街」といった様子です。どれもハーバード提携機関の病院で、これらにMassachusetts General Hospitalを加えた4つの病院が今回の実習の舞台になります。

ここがChildren's Hospital。向川原(小児栄養)・白石(小児循環)・高橋&中村(小児神経)がローテートします。


これはBeth Israel Deaconess Medical Center。坂口(循環)・中釜(神経)が回ります。


Brigham's and women's Hospital。ここを今月回る人は誰もおりません。


寮にはほとんど家具が無いので、寮組は徒歩10分くらいの店に向かって布団やスタンドなどを買ってこの日は終了です。


金曜日:
午前中は買い物。寮は本当になんにも無いので、食器や食料品を買い込みます。
午後は皆で集まって携帯を買い、通信手段を確保。その後はボストンを散歩。Back Bayという市内の公園や、Fenway Parkというボストン・レッドソックス(松坂のいるチームです)の本拠地を訪れました。

土曜日:
MGHを見学しにいきました。ここはLongwoodから電車で20分くらいと離れたところにあります。

Massachusetts General Hospital。中野(脳神経外科)と野口(白血病・骨髄移植科)が実習します。


これがまた本当にでかい!(この女性のことではないですよ笑)
研究施設と病院の複合施設で、もはやテーマパークといった大きさです。
その後はボストン中心を走るCharles Riverを超えて、MIT(マサチューセッツ工科大学)、ハーバードメインキャンパス(Cambridgeというエリアにあります。ここは医学系以外の学科が集まってます)を訪問。最後に中村・中釜・中野が住むシェアハウスにお邪魔しました。これもまた本当にでかい!あまりに豪邸で僕はテンション上がりっぱなしでした。

日曜日:
こちらでお勤めになっている脇本先生ご夫妻にお会いして、お話を伺いました。毎年派遣学生がお世話になっていて、まだ生活に慣れていない僕らにアドバイスを下さいました。本当に心強いばかりです。解散になった後、海沿いのレストランでシーフードを食べに行きました。ロブスター(ボストン名物らしい)がとんでもない大きさで出てきてびっくり!

月曜~金曜日:
いよいよ待ちに待った実習スタートです。超特急と言った割にはなんだか長くなってきたので、実習関係はまたの機会に書きますね。。