2012/04/09

Children's Hospital Boston、Neurologyの一日


こんにちは、高橋です。ボストンに於ける実習が始まってから早2週間が経過しました。
現在Children’s Hospital BostonNeurology(神経内科)にて実習を行っております。Neurologyにおける実習は、病棟とコンサルト其々2週間ずつのセットから構成されます。病棟とは、「病室があるところ」から転じて、「入院患者に関する業務」を意味します。(「コンサルトって何?!」という質問に対する答えはまたいつかの機会で!)に私はこの2週間は病棟実習を行いました。実際にどのようなことをしているかイメージしていただくため、病棟実習の1日の大まかな流れを紹介したいと思います。

まずはチーム構成の紹介から。チームは上から順にAttending doctorFellowSenior residentJunior resident- studentという構成となっております。Attending doctor とはチームのボス、fellow は中堅、Residentは日本で言う初期研修医に相当します。学生は主にResidentと行動を共にします。

 さてそれでは本題に入ります。一日のスケジュールは以下の通りです。
07:30 病棟到着、Pre-Round
 Roundとは、担当している入院患者さんを診察して回ることです。日本語では「回診」と訳されます。Pre-Roundは、Residentが受け持ち患者の病室を訪れ、「How was the night?」から始まり一晩の症状・身体所見の変化を確認します。このPre-Round、驚いたことに患者さんが寝ていても起こします。

08:00~10:00 Attending Round (Morning)
 Attending doctor がリーダーとなり、チーム全員で担当患者の回診を行います。Pre-Round で得た情報をResident がチームに伝達する(”Presentation”と呼ばれる。以下、プレゼンと記載)ことから始まります。She is a $$$ year-old girl, with a history of autism, presenting with concerning episodes of seizure. Overnight EEG showed abnormal bilateral temporal discharge. Today we do MRI….. (一部改変) というようなプレゼンの後、Attending doctorが中心となりチームで今後の方針を話しあいます。Discussion 中、Attending doctor は時折最新の知見の紹介や患者へのアプローチへの方法を教えて下さり、学習効果も非常に高いです。
 さて、病室に入ります。一人の患者さんに掛ける時間は、症例により多少の差こそあるものの実に15分以上!親と患者からHistory や一晩の症状の変化などを聞き出した後、診察を行い、今後の治療方針を患者・家族と話し合います。

12:0013:00 レクチャー
 小児神経内科の分野で活躍する先生方が診療におけるコツや最前線の研究内容に至るまで様々な内容のレクチャーが毎日昼に行われます。しかもなんと昼食付きという素晴らしさ!! Resident はほぼ全員出席しており、組織全体の能力底上げに大きく貢献しております。

13:00~15:30 病棟業務・新規入院患者の問診や診察など
 午後は検査や結果の解釈、新しく入院してきた患者の問診・診察をします。「この患者みたい!」というと、学生に担当させてもらえることもあります。さて、痙攣して入院となった患者を担当したとしましょう。
 まず患者さんの問診から始まります。症状についてのより深い情報(いつから、どんなふうに体震えていたかなどなど…)既往歴(昔何か病気したことあるか)、家族歴(家族の中に癲癇患っていた人いたか、遺伝病はあるか)、生活歴などの情報を聞き出します。
 その後、診察を行います。特に目の動きや深部腱反射(ハンマーで膝叩くと足がポーンと伸びる、あのやつ。ポーンが大きすぎたり小さすぎたりすると、神経に異常がある可能性がある)、力の強さなど、神経を反映するものに異常がないかに注意を払います。
 問診・診察が一通り終わったらResident にプレゼンをします。するとResidentが「この段階でどんな病気が考えられるかな?この情報も聞いた方が良かったね!」といったfeedbackを下さいます。
 プレゼンが終わると、「じゃあいっしょに見に行こうか!」とResidentが言い、再び病室へ一緒に戻りResident が患者さんの問診・診察を行います。先ほど聞けなかった重要な情報が、次から次へと引き出されてきます。
 病室から戻るとカルテに得た情報を記載し、Residentに添削してもらいAfternoon Roundに備えプレゼンの準備をします。
この一連の流れは、実習の醍醐味の一つであります。この症状のときにはどんな病気を考えて何を聞くべきだったのか、どう聞けば患者から上手くその情報を引き出せたのか自分の足りない部分を認識し次に繋げるための最高の機会です。

15:30~17:30 Attending Round (Afternoon)
 なんと午後にもRound があります。検査結果などその日に起きた変化を踏まえ、朝同様Residentがプレゼンし チームで話しあい患者さんの部屋に行き説明をします。④で担当した患者さんをチームの前で発表します。Attending も先ほどのResident同様、「この情報は聞いた?」「どんなこと考えているの?」という質問を投げかけてきます。緊張のひと時ですが、プレゼン後は非常に達成感があります。

18:00  帰宅
 実習も終わり、家に向かいます。一日を振り返った後、担当患者の病気に関する論文を読んだり、英語の勉強をしたり、音楽聞きながらリラックスしたりしながら、次の日に備えて早めに寝ます。

だいぶ長くなってしまいましたが、これがChildren’s Hospital BostonNeurology病棟実習の1日の流れです。少しでもイメージが掴める助けとなれば光栄です。

高橋

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